歯肉炎・歯周炎は何が違う?
歯肉炎と歯周炎は、どちらも歯周病を指す言葉ですが、進行度の違い(炎症の範囲)によって呼び方が変わります。歯肉炎(軽度の歯周病)は細菌感染が歯茎だけにとどまっている初期段階です。歯周炎(中等度〜重度の歯周病)は炎症が歯茎だけでなく、歯根膜や顎の骨にまで広がった段階です。
重症化を防ぐためにも、早期発見・早期治療が何より重要です。気になる症状がある方は、小倉あんざい歯科・歯周病クリニックへお早めにご相談ください。

4段階に分かれる歯周病の症状
歯ぐきが赤く腫れたり、炎症を起こしている段階を「歯肉炎」と呼びます。
この炎症が進み、歯を支える土台である歯槽骨が失われていく状態になると「歯周炎」となります。
これら歯肉炎と歯周炎をまとめたものが、いわゆる「歯周病」です。
歯肉炎は歯周病の初期にあたるため、この段階で適切に治療を始めることがとても重要です。
歯肉炎
歯周病の初期段階で、炎症が歯茎だけにとどまっている状態です。歯茎に赤みや腫れが見られ、歯磨き時に出血することがあります。また、軽い口臭を感じることもあります。この段階ではまだ歯を支える骨には影響が及んでいないため、適切な治療とケアで完治が可能です。
軽度歯周炎
歯を支える骨が溶け始めた段階です。歯茎の炎症が進行して赤みや腫れがひどくなり、出血量も増えます。口臭が徐々に強くなり、歯と歯茎の間に隙間ができて食べ物が詰まりやすくなります。軽度とはいえ骨の破壊が始まっているため、継続的な治療と適切な口腔ケアが必要です。
中程度歯周炎
炎症が歯槽骨まで広がり、歯茎の色が赤黒く変色します。歯茎が下がって歯が長く見えるようになり、歯がグラグラし始めることもあります。口臭も強くなり、この段階で初めて症状に気づいて受診される方も少なくありません。物が食べにくくなるなど日常生活に支障が出始め、歯周外科治療が必要になるケースもあります。
重度歯周炎
最も進行した深刻な段階です。歯茎が大幅に下がり、歯が大きくグラグラします。食べ物を噛むと痛みを感じ、歯と歯茎の間から膿が出て、非常に強い口臭が発生します。歯を支える骨が大きく破壊されており、放置すると歯が自然に抜け落ちることもあります。
歯肉炎・歯周炎の原因
歯周病の直接的な原因は、歯垢(プラーク)に潜む歯周病菌です。歯周病菌が出す毒素によって歯茎に炎症が起こり、症状がほとんどないまま炎症が拡大し、最終的には歯を支える骨にまで達します。また、以下のようなリスク因子が歯周病の発症や悪化を促進します。
口腔内
- 歯石の蓄積
- 不十分なセルフケア
- 歯並びや噛み合わせの不良
- 詰め物・被せ物・入れ歯の不適合
- 歯ぎしり・食いしばり
- 口呼吸
口腔内には400種類以上の常在菌が存在しますが、その中には歯周病を引き起こす細菌も含まれています。元々、歯周病原因菌が多い方は、炎症が起こりやすい傾向があります。
歯垢
歯垢は歯の表面に付着する細菌の塊で、わずか1mg中に約1~2億個もの細菌が存在します。白色または黄白色で目視では確認しにくいですが、舌で触るとザラザラした感触があります。
粘着性が強く歯にしっかり付着するため、うがいでは除去できず、歯ブラシで物理的にこすり落とす必要があります。特に歯と歯の間、奥歯、歯と歯茎の境目には残りやすいため注意が必要です。
歯石
歯石は、唾液中のカルシウムによって歯垢が石灰化し、歯に固く付着したものです。歯石の中で細菌が繁殖し、毒素を放出し続けるため、周囲の歯茎は常に炎症を起こしやすい状態になります。一度ついてしまった歯石は歯磨きやうがいでは除去できず、歯科医院での専門的なクリーニングが必要です。
特に歯石は、歯垢が付着して24~48時間で「石灰化」が始まり、3日後には歯石化がスタートします。そのため定期的な歯科医院への通院が必要となってきます。
噛み合わせ
悪い噛み合わせ、歯ぎしり、食いしばりなどにより歯に過度な力がかかると、歯を支える骨が破壊されます。これにより歯周病による炎症と骨破壊が助長され、症状が悪化しやすくなります。
生活習慣
- 食生活の乱れ
- 喫煙習慣
- 糖尿病、骨粗しょう症などの全身疾患
- ストレス
- 睡眠不足
- 水分不足
- 女性ホルモンの変化
- 遺伝的要因
喫煙はタバコに含まれるニコチンが歯茎の血流を悪化させ、免疫細胞の働きを妨げるため、歯周病菌を抑えられなくなります。また、ストレスは自律神経に影響を与えて免疫力を低下させます。
このように、口腔清掃の不足や不規則な食生活、歯科医院の受診回数の少なさなども、歯周病発症の環境因子となります。
歯肉炎・歯周炎の治療
基本治療
ブラッシング
歯周病治療において最も重要なのが、毎日の正しい歯磨きです。歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目や歯と歯の間に当て、細かく動かして歯垢を除去します。力を入れすぎると歯茎を傷つけるため、優しく丁寧に磨くことが大切です。
朝晩2回、特に就寝前の歯磨きが重要です。歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、歯ブラシだけでは届きにくい部分もきれいにできます。歯ブラシは1ヶ月に1度交換し、毛先が広がったらすぐに新しいものに替えましょう。当院では、患者さまお一人おひとりに合った正しいブラッシング方法を丁寧に指導いたします。
歯石除去(スケーリング)
歯垢が石灰化して硬くなった歯石は、歯ブラシでは除去できません。歯石には、歯茎の上に見えている部分と、歯茎の中の歯根に付着している部分があります。専用器具を使ってこれらの歯石を除去し、歯の表面を滑らかにすることで、歯垢が付きにくい環境を作り、歯周病の進行を防ぎます。
不適合な詰め物・被せ物の
除去
段差のある詰め物や合わない被せ物は、その隙間に汚れが溜まりやすく、歯周病を悪化させる原因となります。このような不適合な修復物を除去し、適合の良いものに交換することで、汚れが溜まりにくい環境を整え、歯周病の進行を防ぎます。
噛み合わせ治療
噛み合わせの不良も歯周病を悪化させる要因の1つです。特定の歯に過度な力がかかると、その部分の歯周組織が破壊されやすくなります。強く当たっている部分を調整し、噛み合わせのバランスを整えることで、歯周病の進行を抑えることができます。
外科治療
基本治療で十分な改善が見られない場合、外科治療が必要になることがあります。歯肉を切開して歯根に付着した歯石や不良な組織を直接除去することで、歯周病菌を徹底的に取り除き、歯茎の健康を回復させます。
また、歯周病によって下がってしまった歯茎を回復させるため、他の部位から歯肉を移植する歯肉移植手術を行うこともあります。
歯肉炎を歯周炎へ
進行させないために
歯肉炎は、歯周病のごく初期段階です。この段階で適切にケアすれば、炎症を改善し、歯周病への進行をしっかり防ぐことができます。
まず大切なのは、毎日のセルフケアです。その理由としてプラークは、毎日付着するからです。
歯と歯茎の境目は汚れが溜まりやすいため、毛先をしっかり当てた丁寧なブラッシングを心がけましょう。加えて、歯ブラシだけでは届きにくい隙間の汚れを落とすために、歯間ブラシやフロスも積極的に取り入れることが重要です。こうした細かいケアによって、炎症の原因となる歯垢を取り除きやすくなります。
さらに、症状が軽い段階であっても、歯科医院でのチェックとクリーニングを受けることが非常に効果的です。セルフケアでは取り切れない歯石や深い部分のプラークを除去できるため、見落としがちな初期トラブルも早期に見つけられます。
歯肉炎の改善には、「ご自身での毎日のケア」と「歯科医院でのプロフェッショナルケア」のどちらも欠かせません。この二つを組み合わせることで、健康な歯茎を維持し、歯周病への進行をしっかりと食い止めていくことができます。
