歯周外科治療はどんな治療を行うのか
歯周外科治療は、歯周基本治療を何度行っても歯周ポケットの改善が見られない場合に実施される外科的アプローチです。深い歯周ポケットの奥に入り込んだ歯垢や歯石は、通常の器具では完全に取り除けないことがあり、外科処置が必要になります。また、歯周病の進行により骨の形態が乱れているケースでは、その形を整える目的でも外科的治療が選択されます。
歯周外科治療は大きく3つの目的に分けられます。
1つ目は「フラップ手術」で、汚れを徹底的に清掃すること。
2つ目は「歯周組織再生療法」で、失われた骨や組織を再生させること。
3つ目は「歯周形成外科手術」で、見た目の改善を主目的に歯茎の形態を修復することです。
局所麻酔下で行うため手術中の痛みはほとんどなく、通常1〜2時間程度で終了します。入院の必要はなく、日帰りで治療を受けられます。
歯周外科治療の種類
フラップ手術(保険適用)
中等度以上に進行した歯周病に対して行う外科処置です。歯茎を切開して歯根を露出させ、付着している歯垢・歯石・毒素を直接目視しながら徹底的に除去します。
歯周病を完治させるには、根本原因を取り除くことが不可欠です。歯茎の上からでは取りきれない歯根の汚れを確実に除去することで、溶けていた骨が自然に再生することもあります。小倉あんざい歯科・歯周病クリニックでは、先進的な治療器具と適切な術式により、より確実な治療効果を目指します。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法は、歯周病によって失われた歯を支える組織(歯槽骨・歯根膜・セメント質)を回復させることを目的とした治療です。通常、一度破壊された歯周組織は自然には元に戻りませんが、再生材料や特殊な治療技術を用いることで、組織の再生を促すことができます。
特に、歯周病が進行して骨の高さが大きく失われている場合や、通常の歯周治療だけでは安定が難しい場合に適した治療法です。
エムドゲイン法(自費診療)
エムドゲイン法は、歯周病によって失われた歯槽骨や歯根膜など、歯を支える組織の再生を促す治療です。
幼少期に歯が形成される過程で働く「エナメルマトリックスタンパク質」を含む薬剤「エムドゲイン(Emdogain)」を使用し、歯周組織の再生をサポートします。
治療では、ゲル状のエムドゲインを露出した歯根表面や骨が失われた部分に塗布し、タンパク質が歯根の細胞に作用することで、歯茎の退縮を抑えながら骨の再生を促進します。
組織の再生は手術直後から始まり、個人差はありますが、半年ほど経過するとレントゲンで骨の回復が確認できることがあります。
GTR法(自費診療)
GTR法(Guided TissueRegeneration:組織再生誘導法)は、歯周病によって失われた骨や歯根膜などの歯周組織の再生を促す治療です。再生させたい部分に「メンブレン」と呼ばれる特殊な膜を設置することで、歯周組織が再生するスペースを確保し、自然な回復を促します。
通常、歯茎の組織は骨よりも先に入り込んでしまう性質があるため、骨が再生する前にスペースが埋まってしまいます。GTR法はその問題を防ぎ、骨や歯根膜が再生する環境を整える治療です。
歯肉切除手術
腫れた歯茎そのものを切除する外科処置です。炎症を起こした歯周組織を改善し、プラークコントロールしやすい状態にすることが目的です。
歯周ポケットを物理的に減らすことで、セルフケアの効果を高めます。ただし、腫れた歯茎を切除するため歯茎の位置が下がり、歯根が露出して知覚過敏の症状が出る可能性があります。
歯肉切除術のほか、歯肉弁根尖側移動術、骨整形術、骨切除術などの切除療法があり、症状に応じて最適な方法を選択します。
歯周形成外科手術
(自費診療)
歯周病の進行や治療によって見た目に支障をきたした歯茎を、手術で改善する治療です。歯茎が下がって歯が長く見える状態を改善する「根面被覆術」がよく行われます。局所麻酔下で上顎の口蓋から採取した歯茎を、歯茎が下がった部分に移植する手術で、約1時間で終了します。
歯茎の形を整えることで、見た目が改善されるだけでなく、毎日のセルフケアもしやすくなります。笑顔に自信を持てるようになり、精神面にも良い影響を与える治療です。
手術の流れ
1精密検査・診断
まず、歯周ポケット検査やレントゲン、CT撮影などを行い、歯周病の進行度、骨の状態、歯周組織の形態を詳細に確認します。
これらの情報をもとに、外科治療の適応を判断し、最適な治療計画を立てます。
2麻酔と術前準備
治療部位へ局所麻酔を行い、痛みを感じないよう配慮します。
必要に応じて、消毒・術野の確保などの準備を行ってから手術を開始します。
3歯肉を開いて感染源を除去
歯茎を丁寧に切開・剥離し、歯周ポケットの深部に溜まっている歯石や炎症性組織を徹底的に取り除きます。
通常のクリーニングでは届かない部分まで確実に清掃できる点が、外科治療の大きな目的です。
4必要に応じて再生療法や歯肉移植を実施
骨の再生が必要な場合は、エムドゲイン法、GBR、GTR法などを用いて歯周組織の再生を促します。歯茎の厚みや形態を整える必要がある場合は、歯周形成外科を併用します。
5縫合
処置を終えたら、歯肉を元の位置に戻して縫合します。
術後の出血や痛みを抑えるため、必要に応じて保護材(シーネ)を装着することもあります。
6術後の経過観察・抜糸
術後1〜2週間程度で抜糸を行います。
その後も治癒の状態を定期的に確認し、再発を防ぐためのメンテナンスを継続します。
7定期的なメンテナンス
外科治療はあくまでも「治すための第一歩」です。
良好な状態を保つためには、
- 定期的なプロフェッショナルケア
- 正しいブラッシング
- 歯周病リスクの管理 が欠かせません。
外科治療と予防ケアを両立することで、歯周組織が長期的に安定します。
歯周外科治療を
受けられない方
身体の疾患や服用している薬によっては、外科処置ができない場合があります。外科手術が困難な持病をお持ちの方や、血液をサラサラにする薬を服用している方は治療を受けられないことがあります。
また、毎日のブラッシングがきちんとできない方も治療対象外となります。磨き残しの指数(PCR)が高い場合、外科治療を行っても効果が期待できず、再発のリスクが高いためです。
さらに、歯周病があまりにも進行しすぎている場合は、外科処置をしても改善が見込めず、残念ながら抜歯を選択せざるを得ないこともあります。担当歯科医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが大切です。
歯周外科治療でかかる費用
保険適用の場合
フラップ手術などの基本的な外科治療には保険が適用されます。治療する歯の本数や患者さまの負担割合によって異なりますが、通常は数千円〜1万円程度の自己負担で治療を受けられます。
また、条件を満たした場合、リグロスを使用した歯周組織再生療法にも保険が適用され、その場合の治療費は7,000円〜2万円程度です。
自費診療の場合
| 内容 | 費用 |
|---|---|
| 歯周組織再生誘導剤 (エムドゲインゲル) |
80,000~130,000円 (税込88,000~143,000円) |
| 細胞遮断膜 | 100,000円 (税込110,000円) |
| 骨移植材 | 50,000円 (税込55,000円) |
| 結合組織移植 | 50,000円 (税込55,000円) |
| ガムピーリング | 15,000円 (税込16,500円) |
歯周外科治療後の注意事項
手術後はしばらく麻酔が効いているため、飲食を控え、舌や頬を誤って噛まないよう注意してください。処方された薬は用法用量を守って必ず服用してください。
治療した歯の周辺をなるべく安静に保つことが最も重要です。そのため、しばらくの間は治療した歯のブラッシングを控えていただきます(再開時期は指示いたします)。また、治療した歯で食事をすることも控えてください。翌日からは消毒薬でうがいをしていただきます。
稀に術後数日間腫れることがありますが、1週間程度で治まります。また、術後1〜2週間程度、冷たい水などがしみる知覚過敏の症状が出ることがありますが、これも徐々に改善します。
